先日、文字の見切れたテレビCMを久しぶりに見ました。
現在のテレビ番組は、とにかく、液晶テレビのフレームギリギリまで文字をレイアウトしていますが、文字が見切れることはありません。
番組テロップを編集する場合は、常に、マスターモニターでテレビフレームからはみ出ないようにレイアウトするからです。
最近、テレビ画面をぎりぎりまで文字をレイアウトしているのは、テレビ朝日が多いと思います。その中でも、現在放映中の【橋本×羽鳥の番組】(2017年9月末で番組終了予定)が文字を見やすくなるように、上手にレイアウトしています。
今回のテレビCMは、福岡の中古物件情報を扱っている「アンピールの不動産仲介」のテレビCMです。
このテレビCMは、おそらく、web配信用の動画を先に作って、それを基に、テレビでも放映しようということになったのかもしれません。低予算で始まる動画制作の場合は、ユーチューブ用に、web動画を想定して制作をすることが多いのですが、web動画だけを念頭に置いて、レイアウトをすると、web動画には、テレフレの概念がないので、見えている範囲全てをレイアウトできる範囲だと認識して、文字や図表をレイアウトしてしまいます。
しかし、このweb動画をそのまま、テレビCMとして2次利用する場合は、注意しなければいけない点があります。それが、テレビフレームです。今のデジタル放送が始まる前は、アナログ放送で、液晶テレビの普及もこれからという時代で、ブラウン管のテレビが普通でした。その時に定着していたのは、テレビのメーカーによる画面の視認性や、デザインなどにによるフレームによって見えない部分が画面に存在することから、文字をレイアウトするには、画面全体の80%以内に配置するのがルールでした。この文字を配置してよいエリアをタイトルセーフエリアといいます。さらに、文字がなかったとしても、俳優の動作や画面の写ってほしい映像は、全体の90%に収まっていると、良いというのが、アクションセーフエリアといいます。このタイトルセーフエリアとアクションセーフエリア二つをまとめてセーフマージンなどと呼んでいました。
現在は、液晶テレビが一般化して、ブラウン管が無くなり、フラット画面が中心となったことで、タイトルのエリアは、80%からはみ出ていても文字が見えるようになってきました。現在は、86%くらいでも、かなりの余裕をもって、文字を見ることができると思います。
今回のテレビCMを見ると、上記画像の赤枠が95%のセーフエリア。オレンジ枠が90%のセーフエリアとなっていますが、おそらく、このあたりでも文字をレイアウトしているために、文字が見切れているのだと思います。
別に、注意書きのような読ませなくても良い文字だということなのかもしれませんが、文字が見切れているせいで、目線をそちらに奪われてしまうので、2次利用する場合は、やはり、テレビCM用に、もう一度編集したほうが、企業ブランドの印象は、良くなるのではないかと思います。
予算がなかったのか?担当者が気が付いていないのか?編集者が見落としているのか?わざとそのままで採用しているのか?どんな判断があったかは分かりませんが、内容が良いCMであるからこそ、もったいない気がします。
2017年9月25日追記:
今も放映されているので、実際にどこで、文字が見切れているかをもう一度確認すると、なんと、テレフレは、95%まで、写っているようでした。自分のプライベート用のテレビは、ソニーのブラビアを使っていますが、ブラビアでは、95%までは、写るようです。
しかし、東芝やパナソニックの画面を考えると、やはり、94%や93%位がぎりぎりという感覚で、レイアウトしたほうが良い気がします。
せっかく、良いCMなのに、文字が見切れていると、それだけで、残念な気持ちになってしまいますよね。テレフレが80%から85%まで拡がっただけでも、ずいぶんとレイアウトの自由度が高くなりました。現在の95%というテレフレを文字のセイフティーエリアとして使えるなんて、昔から考えると、ディスプレイの性能やフレームが進化したなーと、実感します。
投稿者プロフィール
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大学を卒業して、映像プロダクションに勤めました。
数社を渡り、福岡市インキュベート施設で独立。
2000年:映像音響処理技術士
2013年:マルチメディア検定エキスパート
2014年:Webデザイナー検定エキスパート
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